コラム
2025/10/23

自分の親、義理の親の小さな変化に、ドキとしたことはありませんか?
最近、同じ話を何度も繰り返す。電話の声に元気がなく、家の中の整理整頓が以前よりできていない。あるいは、ちょっとした段差でつまずきそうになった姿を目撃した。健康診断の結果に気になる項目が増えたなど。漠然とした不安として心に影を落とすこの「もしかして」という予感こそが、実は介護という現実を目前にしたとき、あなた自身の心と、家族を守るための「最初の一歩」になってしまうことになりかねません。「介護は突然始まる」とよく言われますが、多くの場合、小さな「予兆」を見逃したことから始まる可能性から始まることも少なくありません。あなたの気づきを、「具体的な備え」に変えるために、今、何をすべきか。このコラムでは、あなたが不安を一人で抱え込まず、冷静に、そして後悔なく親の人生に寄り添うための初期行動と心構えをお伝えします。
不安を具体的に解消する第一歩は、親の「今」を正確に知ることです。
コミュニケーションと情報収集の徹底です。最も大切なのは、親の「意思」です。
「どんな老後を送りたいか」「もし介護が必要になったら、どこで(自宅か施設か)誰に(家族か介護員か)手伝ってほしいか」「延命治療の希望」など、終末期まで含めた意向を、穏やかな日常会話の中でやわらかく尋ねてみてください。突然「介護の話」を切り出すのは親にとってもプレッシャーです。「最近、友達の介護の話を聞いてね」などからきりだすとよいかもしれません。また、他者の事例を借りて話を進めると親の方も気持ちを整理しやすくなります。義理の親の場合は関係性や距離感に気をつけて接するようにしてください。具体的な工夫としては、(「配偶者から話してもらう」「遠方であれば、まず手紙やメールで心配している旨を伝える」)を加えて具体性を持たせる)など、無理に聞いてしまうと逆に関係性を悪化させてしまいます。そして、以下の「情報」を具体的に記録しておきましょう。健康状態と生活リズムの把握、かかりつけ医、服用中の薬、既往歴。現在の生活で特に困っていること(掃除、買い物、入浴、移動など)はもちろん、日々の楽しみや趣味といった「できること」も把握しておきましょう。この詳細な記録が、将来、ケアマネジャーや医師に状況を伝える上で非常に役立つ、貴重な「生活データ」となっていきます。
次に経済状況の整理です。年金、貯金、加入している保険、資産、借入の有無など、介護費用に充てられるお金の全体像を確認しておくことは必須です。お金の問題は、将来の介護サービスの内容を左右し、さらに家族間の金銭トラブルを防ぐための最重要課題でもあります。できれば、通帳や印鑑、保険証券などの保管場所も確認しておきましょう。
介護を「する人」と「される人」だけの問題にしてはいけません。家族や専門家といった「チーム」で支える仕組みを作りましょう。以前のコラムでも記載しましたが家族間での「役割分担」と「情報共有」です。もし兄弟姉妹や親族がいるなら、不安が現実になる前に集まり、役割分担について話し合っておいてください。介護は長期戦です。物理的な介護だけでなく、金銭的なサポート、情報収集の担当、精神的サポートなど、それぞれの「できること」を具体的に決め、情報を共有します。誰か一人に重い負担がかかる状態(いわゆる「一人介護」)は、介護疲れから共倒れにつながるリスクが高まります。定期的な休息(レスパイト)の仕組みも視野に入れ、兄弟姉妹や親族チームで支える形を目指しましょう。介護を担わない人も、時々親の様子を見に行くなど、具体的な役割を持つことが大切です。
漠然とした不安を具体的に専門家に相談する場所、それが親御さんの居住地の「地域包括支援センター」です。介護の不安を感じ始めたら、迷わずここに電話をかけてください。ここは65歳以上の総合相談窓口であり、介護保険の申請(要介護認定)の方法や、利用できるサービス、地域の独自支援など、必要な情報を無料で教えてくれます。ここへの連絡こそが、コラムを読んでいるあなたが、最も重要な「専門家とのつながり」を得る第一歩となります。介護保険の仕組みは複雑に感じますが、専門家であるケアマネジャーを探すところからサポートしてくれます。
早すぎる準備はない、心の準備を早めに介護の準備は、単なる情報収集やお金の計算にとどまりません。「親はいつか老いる、自分はそれを支える」という心の準備(マインドセット)を整えること。そして、親の残りの人生に、どのように寄り添うかを考える尊い時間です。「まだ早いのでは」とためらう必要はありません。不安を感じた今こそが、動くべきタイミングです。準備を始めることで、いざという時に慌てず冷静に対応でき、結果として後悔の少ない、親の意思を尊重した介護へとつながります。あなたは一人ではありません。その「予感」を勇気ある行動に変えて、まずは地域包括支援センターへ連絡をして話しを聞いてもらうところから始めてみましょう。
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